仮説つれづれ日記

今年は学校を変わり5年生担任です。仮説実験授業は《花と実》でスタートしました☆

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《日本歴史入門》13,14時間目



今日の仮説実験授業は《日本歴史入門》のみ。
というのも,今日やる予定の「おかねの歴史」の部分は2時間続きじゃないときりが悪い。
1時間ではどうしても収まらないだろうという見当がついてたので,最初からそのつもりだったのです。

問題は【日本でおかね(貨幣)が作られたり使われたりするようになったのはいつ頃か?】というもの。
この部分,授業書《お金と社会》と問題がかぶる部分も多く,
また話題が多岐に広がる豊かな内容を含んでいるため,
「面白いんだけど,この授業書の中でどう扱うのか?」
ということが最初は分かりませんでした。
このことについての疑問や迷いが解消したのは,やはり林泰樹さんのガリ本『時代区分のイメージ』を読んで・・・☆


林さんも同じように,「どうして授業書のここに,おかねの問題が入っているのか?」
という疑問から出発したそうです。そして次のように書かれてます。

答えは意外に簡単でした。このお話も「江戸時代の進歩」のイメージを描くものだったのです。多くのお金をつくるためには経済力が必要ですし,宋銭の使用を禁じるには,確固たる権威や政治力も必要でしょう。幕府の信用も大きな問題です。それらの課題のすべてをクリアしてお金を流通させることができたのですから,大したものです。

また,次のようにも書かれています。

このあたり,第4部・第5部は話題がとんでいるようでいて,内容は非常によくつながっていることを感じます。平野を開墾して耕地面積を拡げるためにも,大きな政治力・経済力・土木技術などが必要でした。お金を作って広く流通させるためにも大きな政治力や経済力が必要です。つまり,〈耕地面積の増加〉〈おかねの製造と流通〉という江戸時代の進歩は同じイメージでとらえられるのです。

日本で初めて作られたお金は和同開珎。700年代のはるか昔です。
そこからずっと歴史を下りながら作られたお金をダラダラ並べていっても,何も見えてきません。
「時代区分」というものを教えるこの授業書において,お金マニアや豆知識を増やすために
このような問題が挿入されているはずがない。
ここまでに培ってきた時代が変化するイメージ。それに伴う時代区分のイメージ。
そのことと「おかねの歴史」との関連をどの部分に見いだすか?
林さんは,それを『問題の説明と正解の判定』『掲示の工夫』によって見事に解明してくれました。
ボクなりにそれを,話題が目新しいものにかわったからといっても,これまでの学習内容との関連を積極的に図りながら問題の説明をすればいいと捉えてみました。

今日の授業は,そのあたりを意識して進めています。


20070609181448.jpg

まずは,第4部までにやってきた時代の変化のイメージを思い出してもらうため,
画像のような掲示をしながら復習していきます。

江戸時代の始まり=長い戦争の時代→平和な時代,開墾が進む
1720年ごろ=人口の伸びが止まり,増えも減りもしなくなった。
明治維新=身分制社会→近代社会,発明・開発が進み,農業技術も進歩


という大きな時代の変わり目がクローズアップされるように掲示物を選んで貼り付けました。

「さて,今日の問題に入る前に,この間読んだ『江戸時代の始まり』というお話の中で,長い戦争の時代が終わるきっかけとしてヨーロッパから日本に伝わった重要なものがあったよね? 何だった?」
「鉄砲!」

こうやって『鉄砲伝来』のカードを貼り付けます。
「さあ,今日は『時代が変化するとはどういうことか?』みたいなことを考えてもらいます。人口や米からちょっと離れて,こんなものについて考えてみましょう」
といって,おもむろに1000円札を取り出します。
「ちょうだい!」なんて騒ぐ子どもたちとやりとりしながら,
「ところで,今は普通にこの“おかね”を使っているわけだけど,はるか大昔からあったわけじゃ・・・ないよな? 日本2000年の歴史の中のどこかで作られ,どこかで普通に使われるようになったポイントがあるはず!」
「うんうん・・・」と言いながら聞いてくれる子どもたち。
「今日の問題は,『このお金というものが作られ,使われるようになったのはいつ頃か?』という問題です」
ここまでやりとりしてから授業書を配りました。

「ところで,今日の問題には2つの側面があります。たとえば,いきなり先生がワケの分からないものを出してきて『今日からこのクラスではこれをお金とします』と言ったところで・・・そんなん使わんよな?」
「ほら,ほうだろ~」
「もしかしたら,昔の人だって同じだったかもしれんよ? そのときの政府がおかねを作ったとしても,人々はすぐには信用しなかったかも知れない。その反対に,おかねというものを作ってすぐに広まったのかも知れない。つまり,『ただ作った』のがいつかじゃなく,『作られたおかねが広く使われるようになったのはいつか?』を考えて予想を立ててみてください」


これもまた,林さんの研究を参考にさせてもらいました。

古代の皇朝十二銭は作るに作っても広く使われることがありませんでした。時代が下って,人々がおかねの便利さを知り,どんどん使うようになった時代には政府の作ったお金がなく,輸入した宋銭を使ったのです。しかし,時代とともに品質の悪いお金も多く出回り混乱のもとになりました。それが江戸時代になると,新しく政府の作ったおかねを人々が安心して使えるようになったのです。これは大きな時代の変化といえるでしょう。
           『時代区分のイメージ』(ガリ本図書館)より


「ただ作られた」だけをとりあげるのなら,はるか古代がその始まりです。
「ただ広まった」だけなら,中世になってからのことらしいです。
しかし先に書いたように,「これまでに培ってきた時代区分のイメージとの関連を図る」
なら,正解の判定がこの通りではよく分かりません。
それを林さんは「作られ」「それが広まった」ことを正解の判定の基準とすることで,
見事に時代区分とマッチしたおかねの歴史を浮かび上がらせました。
授業者であるボクはそれを先に知ってるわけだけど・・・
さて,子どもたちはどんな風に考えてくれるのでしょうか?

20070609183319.jpg

〔ア:江戸時代が始まるずっと前から〕
昔話とかで大判・小判が出ていたイメージがあるから。
これは自信がある! 戦国時代にヨーロッパから鉄砲が伝わったって話があったけど,お金を使ってなかったら鉄砲を買うことができないから,これは江戸時代が始まる前なのです!

〔イ:江戸時代前半ごろから〕
えっとですね~・・・これは現代と同じなのです!
(みんな)なんな,ほれ?
今でも生活に余裕があったら「きれいな服を買っておしゃれをしたいな」と思うだろ? つまり昔も同じで,戦が続いた時代には人々は買い物どころじゃなかったんよ。でも,戦が終わって平和な時代になって初めて「きれいな着物をきておしゃれをしたいな~」と・・・
(みんな)ワハハハ! ほれはちゃうだろ~!
ちょっと待ってよ! ほなって誰だっておしゃれしたいだろ?
そうなったらお金が必要になる。だから,戦争が終わった時代になってからお金は使われ出したんよ!

時代劇では,江戸時代には小判があったと思うけん。

この時代は鎖国していたというけど,実はこっそり貿易もしよった気がするんよ。そしたらお金がいるだろ?

〔ウ:江戸時代後半から〕
僕は実は知っとるんやけど・・・・
寛永通宝と和同開珎っていう昔のお金があって,寛永通宝は今買っても安いんよ。ということは,それだけたくさん作られていたってことだと思うんよ。ほんで寛永通宝はたしか江戸時代のお金だったと思う。
でも和同開珎はすごく高い。その和同開珎がいつの時代だったんか知らんのやけど・・・ゴトセン,いつなん?

(後藤)さあ,それはナイショです☆
(みんな)・・・?? なんの話~?

〔オ:その他→江戸時代のちょうど真ん中〕
あのな。作られたんは江戸時代が始まってすぐやと思うんやけど,使われ出したんは江戸時代の中頃になってやと思うんよ。ほなけん,なんとなく・・・。


いかがでしょう? うまく言葉にできないにしても,今までにやってきた時代変化のイメージとからめながら発想している子がそれなりにいるようにボクには思えます。第4部までのイメージを問題説明の前に取り入れたことが功を奏したな~と自画自賛しています(^^ゞ
それに加えて「作られ」「使われた」両側面を考えることにスポットを当てた問題説明がよかったのでしょう。
子どもたちは,通常「作り手」だと考えられる政府や権力者だけじゃなく,民衆の動向にも必然的に目を向けることになったと思うのです。林さんの提唱した問題説明のやり方はすごいな~と改めて思います。

もちろん,断片的な知識をもとに予想を立てても全然かまわないですよね。
後の討論で互いに議論し合う中で次第に「時代の進歩」に目が向いていけばいい。
それに,たとえ議論が起こらなくても,次に配るお話を読み進めていくだけで,「江戸時代という時代の進歩や変わり目」を感じ取ってもらえることは間違いありません。

ただ,「討論なんて起きなくても十分に次のお話で楽しめる」と思ってたボクだけど,
何がそうさせたのでしょう? この日の授業をきっかけに,いきなり子どもたちがブレイクしたのです!
堰を切ったように意見をしゃべる子どもたち。
もう,手を挙げて,それをボクが指名するなんて形が成立しなくなり,議論がヒートアップするにつれ,勝手に立ち上がってはワイワイとそれこそ言い合いをすることを楽しんでいます。
ボクも一緒に笑いながら,ただ見ているだけ。楽しい討論が始まりました。

あのなぁ,「戦が終わってから人々が買い物に目を向けた」って意見に反論なんやけど,平和な時代になったからといって,いきなりそんな変化があると思うか?

あるよ~! ほなって,戦は殺し合いよ? そんな時代におしゃれや考えへんでぇ。

それが違う(笑) 江戸時代の人間がおしゃれや考えるか!

考えるよ! そういう時代になったんよ♪

ほな反論! 江戸時代になってからお金ができたというんなら,戦国時代までの貿易はどないしたん?

・・・うーん・・・ま,どないかしたんよ(爆笑)

テレビでおじゃる丸を見たことない? あれって平安時代ぐらいじゃないん?
あの中で貴族みたいなんがいい服着とるだろ?
もし,江戸時代までお金がなかったんなら,貴族はどないしたん?

貴族は貴族でいい服があったの!

ほな,その時代の人はどうやって買い物したん?

もう,ええでぇ! とにかく,みんながお金を使って買い物するようになったのは戦がなくなってからなんじゃ!

ほな,ぼくがとどめを刺します(笑)
「江戸時代は新しい発明が許されなかった時代」じゃなかったですか~?
おぉ~! 賛成(パチパチパチ・・・(^^)//"""""")


もう,聞いているだけで周りも大爆笑の議論。
それにしても,みんなから総攻撃されている子の意見が,この第5部の核心をついたものであるなんて,次のお話を読むまできっと誰も想像してなかったでしょう。

前々から兆候はあったんだけど,二人の子をきっかけに「俺にしゃべらせろ」みたいな雰囲気が出てきました。
この二人は昨年は相学級にいたので,仮説実験授業は今年になって初体験。
普段は,どちらかというと勉強は「苦手」な子たちです。
4月から今までの仮説の授業の中でどんなものをため込んできたのか,具体的なことはボクには全然わからないけど,いまここに来て先頭に立って発言したがるあたり,きっと楽しくて開放的な気持ちをいっぱいいっぱいためてきてくれたんだと思います。
それがボクは一番うれしい(^^)v


20070609195241.jpg

さて,正解の判定は【お話】を読みながらしぼっていくことにしました。
この【お話】は非常に長い読み物ですが,途中で予想を立てたりしながら読み進められる
非常に読み応えのある中味になっています。
古代政府のインチキや,押しつけられたおかねを民衆が拒否したことに「なんなほれ~」とつっこんだり,笑ったりしながら,楽しく読み進めていきます。

討論の部分が盛り上がったのでここで時間切れとなり,続きは3校時目に行うことにしました☆


20070609195817.jpg

古代政府の意志とは裏腹に民衆に拒否された‘おかね’だけど,中世に入ったら広く出回ることになります。
「そのお金は誰が作ったものか?」ということについて,予想を立ててもらう形にしています。
子どもたちの大半は「武士の時代になったんだから,幕府が作ったんだろう」
という予想を立てていますが,実は「中国から輸入したおかねを利用した」
という結果を知ったときには「えぇ~!?」という驚きの声。
さらにこのことは,先の問題でアの選択肢が間違っていることも示します。
そのことを告げると,さらに大きな悲鳴とともに,先の討論で総攻撃をくらっていた女の子に注目が集まります。
みんな,ドキドキとワクワクが高まったところで,次のページを配ります・・・!

20070609200658.jpg

正解がイであると分かると同時に,1人で総攻撃を受けて立っていた女の子が立ち上がってガッツポーズ☆
黒板に,黄色で作成された『寛永通宝』のカードを貼り,中世に民衆が使用していた宋銭の使用を禁止させたことを書いたカードを貼り付けます。
さらに読み進め,「紙切れをお金と認めさせることができたのは明治政府だ」ということで『おさつ』のカードをペタリ!
これで,2時間に及ぶ議論の決着がつきます。

いっぱいカードを貼ったり書き込んだので分かりにくいけど,林さんが考案された掲示の工夫は優れものです。
黒板を「作られた」「使用された」の上下2段に分けます。
そして,「作られただけ」「勝手に使用されただけ」のお金カードは青色に。
「作られて,広く使用された」お金は黄色カードにして,上下2段にまたがるように貼ります。
こうすると,人口グラフと合わせて時代の変わり目を象徴するかのように見えてきます。
西川さんが考案された人口グラフとあわせて,この手法は《日本歴史入門》の授業運営上,画期的な発明だと思います。


20070610001427.jpg

ちなみに,ボクは貨幣カタログを持っているので,現代における和同開珎の値段を調べて教えてあげます。
なんと,上質のものになると500万円を超える!
つまり,それだけ発掘される可能性が低いということであり,現存する可能性が低いということ。
それは,当時の発行数もきわめて少ないということ。

同時に宋銭の値段も調べると・・・こちらはものにもよりますが,なんと500円程度です。
子どもたちは「そんなに安いん? そんなにあるん?」とビックリ。

「寛永通宝はもっと安く買えるよ。実物を見せてやろう」
と言って取り出したのが,画像のもの。
列の先頭からまわしていくと,食い入るように見入りながら「これ,ばあちゃんくにある!」と叫ぶ子も(^.^)

20070610001924.jpg

これだけ嬉しそうに見てくれると,こちらも用意した甲斐があるってもの!

寛永通宝の値段も調べてみると,こちらは100~200円です。
加えて,豊臣秀吉が発行した天正通宝の大判は・・・・・
なんと1億円になることが判明!
「この上八万は古い土地だから,昔からある家だったら,庭を掘ってたら昔のお金が出てくるかもな」
なんて言うと,「よっしゃ! 和同開珎を見つける!」「いや,天正通宝じゃ」なんて騒ぐ(笑)

授業書の内容もさることながら,実に楽しい興奮の2時間でした。
もうすぐこの授業書も終わりだけど,ひょっとしたらこの部分が一番,子どもたちの心に残ったかも?
  1. 2007/06/06(水) 09:30:08|
  2. 日本歴史2007
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徳島で小学校教員をしています。

後藤浩之

Author:後藤浩之
小学校教員になって15年目。
仮説実験授業を始めて14年目です。
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